「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むこと。仕事でキャリアを積むこと以上に価値がある」と中学の全校集会で校長が発言したことについて朝日新聞が取り上げ、これについてネットの界隈でかなりの炎上状態となっている。
ネットでは発言の内容に対し批判的な意見が多い。特にソースは挙げないが、はてなブックマークのコメントなどを見れば批判的なコメントが多いのは一目瞭然だ。
「子を産めない人は寄付を」 「2人以上」発言の校長:朝日新聞デジタル
はてなブックマーク – 「子産めない女性は寄付を」 「2人以上」発言の校長:朝日新聞デジタル
朝日新聞の見出しの付け方には悪意がある
記事を読んだ第一印象として、朝日新聞の見出しの付け方にはかなり悪意があるように感じる。
同時に発言要旨を掲載しているので良しとしたいのだろうが、この発言要旨を読めば、このような見出しは主旨をねじ曲げた煽りでしかない。
取材におけるやりとりの中で「子を産めない人は寄付を」という言質をとり、してやったりとその部分のみを切り取って見出しとするあたり、記者の醜悪な心根が垣間見える。
批判コメントの多くは、性差別だとか、子供を産めない人に対して寄付しろとは何事かとか、価値観の強要だとか、些末な言葉尻を捉えた内容がかなり目立ち、朝日新聞の狙いにまんまと釣られている。
朝日新聞は、この国に対していったいどういう未来を描いているんだろうか。記事自体には記者としてのもしくは新聞としての意見は直接的には書かれていないのだが、このような形で「報道する」という行為と、こういう「見出し」をぶつけてくるあたりに、民意をどの方向に誘導したいのか新聞社としての意図が透けて見える。
校長の発言主旨はともあれ、そういったことを公の場でしかも教育者がまだ未成熟な考え方しかできない中学生に対して話したといことに問題があるとするならば、『「子を産めない人は寄付を」 「2人以上」発言の校長』というタイトルにはならないはずだ。
僕は、この校長が言っている主旨については総論として賛成だ。それを述べたTPOについては問題がないとは言えないが、ここまで大きく炎上するほどの大失態では無いと思う。
「子供二人を産める社会」では無いことを問題とするべき
本来、このような発言を記事にするなら、もう少し掘り下げ、現在の日本が「子供を二人産み育てる」にはかなり厳しい社会構造となっていることに対して取材を行い記事としていくべきだろう。
- 経済状況やキャリア形成などに起因した晩婚化
- 晩婚化による不妊率の上昇
- 経済的な事情による出産子数の減少
- 産休制度のネガティブな運用
- 核家族化や社会的に保育を行う仕組みが少ないことによる職場復帰の難しさ
僕の少ない知識でも、こういった不都合な現状があるということはわかる。
「子供二人を産める社会」とはどうあるべきなのかということが論じられる最も重要なことであるはずなのに、そもそも、「子供二人を産める社会」と公の場で言うことが儘ならぬ空気を創りだそうとする朝日新聞はいったいどういう意図をもっているのか。
かなり理解に苦しむ報道であった。