少子化対策として、子供を持つ世帯への住居提供と教育費の無償化をするべきじゃないだろうか。もちろん所得制限をして富裕層を対象からはずすのは言うまでもない。
住居についていえばもともと公団だったくせにアホみたいに高い家賃を設定してるUR住宅を自治体が安く借り上げて活用するとか、過疎化が始まっている多摩ニュータウンや高島平あたりの集合住宅を再生するとかどうだろう。エレベーターのついてない団地タイプの古い住宅などは、建物に外付けエレベータを設置できるよう建築認可を緩くし既存の社会資本を大切に長期間利用する方向で考えたほうが良いのではないだろうか。
教育についていえば、高校までの教育費完全無償化と、優秀な子に対しては大学から大学院までの返済不要の奨学制度を年間数万人規模でかなり広範囲に拡充するべきだ。
財源はどうするの?
こういう極論を言うと、「財源はどうするんだ!」と怒る人がいるんだけれど、次代を担う優秀な若い世代への投資こそ国力の増強と国の持続的な発展に直結するわけで、高齢化対策という後ろ向きの支出に比べかなり優先順位が高いはずだ。高齢者切り捨てとか弱者切り捨てとかいう批判が多いだろうけど、若い世代が元気にならないとそもそも高齢者や弱者を支える仕組み自体が崩壊するわけで、お金が流れる方向を変えないといけない。
ちなみに自分の場合はあと数年で子供が巣立つタイミングで逆に親世代の介護の心配をする年齢なので、こういった制度が導入されると我が家の家計にとってはかなりマイナスになる。そうは言っても、僕らの世代が介護などのコストを負担して世話になった親の世代に恩返しをしていく覚悟をするかわりに、若い世代に子供たちを作って育ててもらいたいと僕は思う。
それでも足りなければ、消費税を10%でも12%にでもしたらいい。結婚して子供ができたら住居費や教育費が無償になるとなれば、実質的に子育て世帯に対してベーシックインカムを導入したのと同じ効果が出る。そして独身でいるよりも結婚して子供を育てた方が経済的に豊かになれるような社会の仕組みができあがる。もちろん不妊治療は健康保険適用にして経済的な負担が少なく利用できるようにしてあげればいい。
晩婚化と少子化の要因
まだバブルの余韻が残っていた20数年前でさえ、教育費や今より大きな家に住み替えないといけないというコストを考えて、当時のはやり言葉だったDINKs (Double Income No Kids)でいこうかなと、子作りをするかどうか真剣に悩んだものだ。
現在の日本に至っては、収入が少ない若い時に生まれた子供を幸せに育てあげることは、特に都市部においては経済的にかなり厳しいと思う。近い将来に自分の子供達が結婚して家庭を持ったら、教育費などは僕ら親の世代が援助することを約束してあげないと、彼ら彼女らは20代で子供を作ろうとは思わないんじゃないだろうか。
世帯収入や祖父母世帯の資産状況によって受けられる教育にかなり大きな格差が出ていることにも、子供の頃に受けた教育と将来の生涯収入には相関関係があるってことにも、みんな気づいてる。お金で買えない幸せがあるのは事実だけれども、お金で買える幸せがあることもみんな知っている。
もちろん、家庭の方針やら子供の向き不向きやら資質や性格によって、無理に今の日本の教育の仕組みに乗っからなくても良いと思う。子供や家庭が自ら選択していろいろな道を選ぶのは止めないけれど、今の日本の教育を受けたいという選択肢を最初から手にすることができない子供がいることについては、なるべく減らしてあげたい。だって子供は生まれてくる家を選べないんだから。
冒頭にも書いたけど、もともとお金がある世帯には何にも援助をしなくて良い。どうせ、経済的に余裕がある家庭は、おそらく一般的な制度をはなから利用することはせず、「天才養成スクール」みたいな特別な仕組みを考えて商売する輩に元気に資産を毟られることになるだろうから・・・