東京で私立校に通わせることについて

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僕は生まれも育ちも東京でそれ以外の場所についてはよくわからない。というわけでこれから書く話は東京の話だ。

ちなみに親も僕も僕の子供たちも東京の私立高校を卒業し大学受験をしている。というわけで公立校のことはさっぱりわからない。したがってここでは公立校のことについては触れない。

もし文中で公立校にかかわる間違った比較や思い込みの記述があったとしたら、それは間違いなく僕の無知故のミスだと断言できるので冒頭に詫びておく。



私立の特徴

おそらく偏差値が60後半から70超えの私立にはかなり独特の世界観がある。

それぞれの校風によって、当てはまらない部分もあるだろうが概ね以下のようなものだ。

  • ルールを守れない子は進学できない(放校処分となる。)
  • 生徒は教師から指導されずとも勉強を自主的に行う
  • 特別な道を目指す子か余程の落ちこぼれでないかぎりマーチ以上の大学に進学する
  • 親がOB/OGか、教育方針が似ている他私学出身者が多い
  • 生徒の家庭環境はある一定レベル以上にある
  • 幼小においては親がかなりの時間を割いて学校行事に協力する
  • 伝統や校風を重んじる
  • 良い意味でも悪い意味でもプライドを持っている

伝家の宝刀により保たれる秩序

小学校や中学までは義務教育なので余程のことをしない限り、その課程の卒業までの間に放校処分となることは無い。しかし、生活態度や学習態度が目に余るほど悪いと中学に進学するときや高校に進学する時に放校されたり推薦状が出ず次の課程に進めない。

放校処分という伝家の宝刀があることが歯止めとなり、また、学校としていてもらいたくない生徒を放校してしまうことで、校内は一定の秩序が保たれる。

勉強と進学

周りの生徒のほぼ全てが上位の大学を受験することが当たり前の環境にある。そのため、勉強をしたり授業の内容について議論したりすることが当たり前の風景となっている。

また大手の進学塾や予備校などへは特に行かなくても学校の授業をきっちりと押さえていれば、マーチには普通に入れるだけの学力がつく。夏期講習や冬期講習などで予備校に行ってみたら、実は自分の学校の教師がバイトで講師をやっていたなんていう笑い話もある。

学校はOB/OGの子弟を一定数とりたい

公費助成を受けている都合上、公平な選考が行われることが求められているが、例えば足切りラインで点数が並んだ時などでは、OB/OGや校風が似た他私学の卒業生の子弟が優先して合格する可能性が高い。

特に面接が重要な配点を占める小学校入試などでは、その傾向はより顕著だ。

学校がOB/OGや他私学の卒業生の子弟を迎え入れたいのは、伝統や校風を繋ぐためだ。

最近のようにモンスターペアレントによって学校が掻き回されるリスクが高くなってくると、「この学校のやり方はこういうもんなんだ」と学校と阿吽の呼吸で意見調整をしてくれるOB/OGが保護者の中に2割から3割いることは、学校にとってかなり心強い。

小学校や幼稚園入試の面接で親の学歴を事細かに聞かれることはあまり無い。出願書類に親の最終学歴を記入する欄がある場合もあるが、小中高の学歴まで記入する例はかなり稀だ。OB/OG なら受験前に学校に挨拶に行っているので、面接官にその事実は伝わっているだろう。ただ、OB/OG ではない場合でも、かなり遠回しな質問で親の方からそういったことを話せる機会を与えられる。

例えば、電車やバスなどを使って長時間の通学をさせることに対して不安は無いか?とか、この学校を選んだ理由は何か?などと聞かれた時に、「自分も子供の頃に私立○○小学校にバスを使って通学していたので・・・、校風が似ているので・・・」という具合だ。

家庭環境と親の協力

特に小学生までの間は、親がかなりの時間を割いて学校行事に協力したり、頻繁な保護者会への参加を強要される。少なくとも片親は、自由に時間を使えるような状況でないと子供の学校生活に支障が出ることになる。夫か妻のどちらかが専業主夫/婦であることが望ましい所以だ。

学校側は決して公には言わないだろうが、共働き家庭の場合は是非とも祖父母と同居でいて欲しいと思っているはずだ。

また、経済的な環境はもちろんのこと家庭における子供の扱い方や子育てに関する考え方についても学校はかなり気にする。

もっとも中学や高校受験であれば入試の点数次第というところもあるので、家庭環境はそれほど問題にならないだろう。

伝統とプライド

ひとたび入学すれば、子供には、その学校の伝統とそこの生徒であるとのプライドが植え付けられる。

そういったプライドは、正しい方向に作用すれば、他人から見られる自分を意識したり、学校や同級生に迷惑を掛けてはいけないといった歯止めとなったり、勉強をしようと言うモチベーションに繋がったりする。

一方で、ともすると選民意識といわれかねない誤った差別観を身にまとってしまう子供もいる。

こういった環境に育った子たちは、社会に出てみればドブ板をさらうような営業はできず、理屈をこねるのが上手なばかりで結果を出せず、無理をするにしてもすぐ諦めてしまうような限界点が低い子も多い。

しかし他方では、一定水準の教育を受けてきたことによる論理的思考力と知識量が、根拠の無いプライドと合わさって、大きな成果を出すだけの推進力になっていたりするのも事実だ。

何よりも、彼ら彼女らにとって将来重要になるのは、幼少から青春時代をともに過ごした友人達のかなりの割合が、将来的に社会の主要なポジションに昇っていく可能性が高いという点につきる。

私学出身の子弟は、大学の同期よりも中高の同窓生との付き合いの方が長続きし、人生の主要な局面でお互いが良くも悪くも影響しあうのも特徴だろう。

私学が最善手というわけではない

石原さんが推進した都立高復権政策や、中高一貫校制度の導入によって、現在においては各学校の人気の変動はかなり激しい。

近々あらためて書こうと思っているが、標準的な家庭の家計を考えると、子供を私学に通わせるためには祖父母世代からの援助が必須になる。

学歴が人生に影響を与えるかと言われれば、それは人生という駒をすすめる方向によってYESともいえるしNOとも言える。

ただ、親としては、子供が漫然と中高生活を過ごしても、あるレベル以上の大学に入学できる可能性が高いという安心感があるのは事実だ。もっとも、子供本人が将来そうしてもらったことを親に対して感謝するかどうかは、まったくもって別問題であることも間違いのない事実であろう。

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