あれは確か今から30余年前、まだ僕が中学生だった頃のことだ。たしか国語の教師から聞いた言葉だったように記憶している。
「作品は世に出て人々の目に触れた時から、作家の手を離れ独り歩きする。」というようなことを言っていた。そして、「独り歩きを始めた作品は、もはや作家の所有物や従属物ではない。」というようなことも言っていた。おそらく過去の偉人か先達の言葉だろう。もしくは国語の教材の一節かもしれない。誰が言ったかということについては興味がないので憶えていない。
作家がどのような意図を文章に込めようとも、それを読んだ読み手によって様々な受け止め方をされ、論評され議論され、時を経るにつれ作家の意図とは違う意味が付与されていく。僕は、この言葉の趣旨をこんな風に理解している。
あの匿名ダイアリーが有名になった結果「日本死ね!!!」という言葉はかなり多くの意味を持つようになったようだ。